1.経緯等
法人ではこれまで、第5次中期経営計画(2019年度(令和1年度)~2023年度(5年度))の中で掲げた人材の確保と育成に関する方針を達成するために、令和1年9月に職員の行動指針を示す『私たちの心がけ5ヵ条』を定め、この指針に基づいて、職員の育成、サービスの向上などに努めてきました。
また、人材の確保にあたっては、奨学金制度等を新設するとともに、学校との信頼関係づくりを強化し、介護福祉士養成専門学校や高校への求人活動を行っているところです。
しかしながら、生産年齢人口の減少、新型コロナや自然災害の発生、加えて物価高騰や制度改正など法人を取り巻く社会環境の変化は著しく、これらの環境変化に対応できる人材の確保・育成が急務です。
そのため、法人の人材の確保・育成を円滑に進めるために、法人が求める人材像を明らかにするとともに、人材の確保・育成の方策を明らかにした人材育成プラン(以下「プラン」という)を策定しました。
2.基本理念
「私たちは、すべての人の笑顔のあるくらしを支え、
健やかで安心できる地域づくりに貢献します」
私たちは、子ども、高齢者、障がい者など、すべての人が、その人らしく安心して住み慣れた地域で自立した生活ができるように、本人、家族に寄り添った相談や福祉サービスの提供を通して、その人の「笑顔」のあるくらしを支えます。
私たちは、自治会等の地域団体や行政、関係機関等と連携 協力し、福祉サービス等の提供、介護予防や健康づくり、子育て支援などに取り組み、共に支え合う地域共生社会の実現に貢献します。
私たちは、研さんに努め、社会情勢の変化等に対応するとともに、利用者や地域から信頼されるサービス、施設づくりに取り組みます。
3.目的
このプランでは、経営環境の変化に適切に対応し、法人の理念に沿って、自己の能力を高めるとともに、質の高いサービスの提供と強固な経営基盤の確立に取り組む職員を育成することを目的とします。
4.策定の基本的な考え方
(1)法人が求める職員像を明らかにします。
法人が示す『私たちの心がけ5カ条』の実践の先に、どういう職員になってほしいと考えているかを明確にします。それは、職員が今の自分を振り返り、次に進む目標など自己研さんを重ねる指標となります。
(2)採用から育成まで人を育てる仕組みを見える化します。
これまでの制度や仕組みなど関係性が分かりにくかった部分や、足りなかった内容などを整理し、法人が職員を育てる仕組みをどのように考えているか分かりやすく体系化します。
(3)職員はキャリア形成のために資格取得、研修参加等自己啓発に積極的に取り組みます。
業務の中での気付きを次につなげることで職員の成長(キャリア形成)は大きく変わります。法人(事業所)は、職場内外の研修(階層別研修や全体研修、専門研修等)の機会等を通して、資格取得を含め職員の自己研さんの意欲が高まるよう支援します。
(4)人を育てる職場風土づくりを進めます。
職員間で情報が共有され、互いを尊重しながら意見を主張しあえる建設的な、風通しの良い、人を育てる職場風土づくりを進めます。そのために必要な支援や体制の整備等を行います。
5.求める職員像
『自ら考え行動する職員』
法人が求める職員像である『自ら考え行動する職員』とは、法人の理念に基づき、利用者等のニーズや、社会環境等の変化(法制度の見直し、技術革新、物価高騰など)に対応し、職位や等級の役割と責任を果たすことができるよう、自らの考えで主体的に行動する職員のことです。
職員は、自ら考え行動する職員に成長できるよう、職員の行動指針である『私たちの心がけ5カ条』を実践します。
職員行動指針
【私たちの心がけ5カ条】
① 「すべてはご利用者のために」から発想し、行動します
② 個の能力をみがきます
③ ものごとを前向きに考え、正しく行動します
④ 経費最小、効果最大の経営感覚をみがきます
⑤ 仲間と助け合い、励まし合う職場をつくります
職位 職務に求められる役割と責任
法人が組織として適切に運営されるようにするため、職員はその職位 等級に応じて、その役割と責任を果たせるよう自ら研さんに努めます。
6.キャリアプラン実現に向けた仕組み(キャリアパス体系)
7.具体的な方策等
(1)職員採用
①新規学卒者
介護福祉士等資格職を養成する高等学校や専門学校、大学を定期的に訪問し、顔の見える関係を作り、学校との信頼関係を醸成します。
学生の希望等に応じて随時職場体験等を受け入れる体制を整えます。
事業所への実習生等で将来を期待できる人材は、本部と連携をし、採用に向けた説明等積極的に行います。
②中途採用(職員登用制度等)
契約職員のキャリアプラン実現に向けて、各職員の育成状況と今後の計画について各拠点と連携し、課業の習熟や目標への取組意欲、達成度合い等に応じて、職員の働き方に合わせ、エリア限定正職員制度など内部登用につなげ、一人ひとりの職員育成に努めます。
採用困難職種については、事業所人員の充足状況に係わらず、常時正規、契約職員の募集を行います。
③再雇用
雇用期間の見直し等の検討を進めます。
ベテラン職員の知識や経験を活かす制度の整備を検討します。
④障がい者雇用
障がい者が働きやすいよう、施設の設備や勤務場所 勤務時間等環境の整備に努めます。
⑤外国人人材の受け入れ
外国人人材にとっても魅力ある職場となるよう、様々な機会を通して職員同士、利用者等との相互理解を深めます。
⑥求人方法(広告、広報等)
職種や雇用形態に応じた、効果の高い求人媒体を積極的に活用します。
広報(ホームページ等)では、求職者が応募したくなるような求人サイト、チラシ等を作成します。
職員紹介に係る紹介者(職員)表彰を定期的に実施します。
(2)研修体系
○OFF-JT |
①階層別等研修の充実
法人では、職位 等級の役割や責任を果たすことができるよう、階層別に求められるスキルの習得を図るため階層別研修を行います。
管理職研修では、拠点経営や人材育成 マネジメント等について、考え方等意識の統一を図り、リーダーの育成に努めます。
指導 監督職研修では、役職に応じた役割意識の浸透を図るとともに、横のつながりを深め、課題解決能力の向上を図り、次期リーダーの育成に努めます。
一般職研修では、法人理念や求める職員像の徹底など自身のキャリア形成の基礎となる考え方等を学ぶとともに、ともに働く仲間意識を醸成します。
新規採用職員研修では、法人の歴史や理念、規則等法人のルールを学ぶとともに、職員育成に関する仕組み等を学びます。
②外部派遣階層別等研修に係る部内職員の育成
県社協主催、経営協主催等の階層別研修に関して、部長は各拠点と連携し、部内職員の育成状況等に応じて、毎年度人選を行い、職員を研修に参加させ次期リーダー等を育成します。
③全体研修
法人は、法人職員としての基礎的研修(職業倫理や人権(権利擁護、個人情報保護、虐待 身体拘束防止など)、接遇向上等)や保健衛生(感染症対策や食中毒防止、メンタルヘルス等)に関する研修を実施します。
④外部派遣専門研修による資格職の育成
利用者への相談援助、支援に係る専門知識の習得等に関して、積極的に外部派遣研修を活用し、職員の資質向上とともに施設(事業所)サービスの質の向上に努めます。
○OJT |
①施設(事業所)別研修(OJTの充実等
施設(事業所)は、利用者(入居者)の支援等に関する技術的研修やケース検討など専門研修を実施します。
新卒採用職員等に対しては先輩職員によるエルダー制度を実施します。制度運用では、毎年課題を積み上げ、採用職員、エルダー担当者ともにより良く成長していく仕組みに見直しを行います。
職場内における一般職、指導 監督職等の育成では、システムとしてOJTの仕組みを整備します。
②事業所間、部門間体験 交流研修
法人内の同業種(デイサービスや生活介護事業所等)や他業種の事業所間において、施設長(事業所長)は、相互に職員の交流研修を実施し、職員は他事業所の業務の流れや取り組み等を体験し、参考になる面などを自事業所に活かします。
○自己啓発支援 |
①専門的知識の習得等自己啓発のための学習を支援
職種に応じた資格取得や研修等職員の自己研さんを奨励するとともに、費用助成等を行います。
キャリア育成にかかる支援(書籍購入やセミナー参加等)について、費用助成等を含めた支援内容や方法等を検討します。
施設(事業所)の研修計画は法人内で共有をし、職員の興味関心等に応じて参加が可能となるよう、施設(事業所)では便宜を図り、職員のキャリア育成を支援します。
施設長(事業所長)は、職員が自身のキャリアプランを思い描くため、またそれを実現するサポートとして、要望等に応じて、部門(高齢者事業部、障がい福祉部)を超えて体験研修などを依頼します。
(3)人事考課
①人事考課制度
職員は、取組目標の設定等目標面接を通して課業の習熟や役割に応じた課題に取り組み、毎年自身の業務能力の向上に努め、業務習熟度を高めます。
職員は、フィードバック面接等考課面接を通して、課題の達成状況等を振り返り、自身の成長に繋げます。また、上司は職員のキャリアプランに関して共に考え、その実現に向け支援します。
公平 公正な評価に基づき、処遇等に反映をします。公平 公正な評価を実施するため、(被)考課者研修を定期的に実施するとともに、人事考課の制度設計を担った人事考課検討委員会(以下、委員会という)で効果検証等を行い、適宜見直します。
(4)職員配置
①自己申告
施設長(事業所長)は、自己申告やヒアリング等により把握した職員各自のキャリアプランについて、法人本部と共有し、職員のキャリアプラン実現に向けた支援を行います。
②公募制の導入
資格職等求人に際して、法人内でも公募をし、応募者に対して面接等を実施の上、適材適所による適正配置を行うとともに、職員のキャリアプラン実現を支援します。
③適正配置
職員のキャリアプラン等を配慮の上、福祉に関する見識や経験を深め、幅広い視点から福祉を捉えることができるよう、高齢者事業部、障がい福祉部、総務部を問わず、部門間異動を積極的に推進し、サービス向上につなげます。
(5)職場環境整備
①人を育てる職場風土づくり
心理的安全性の高い職場をつくるための環境整備を進めるとともに、コミュニケーションスキルを高める研修を実施し、建設的な意見交換がしあえる風通しの良い、人を育てる職場風土づくりを進めます。
悩みや困りごとなど職場内で解決ができないことを気軽に相談できる総合相談窓口(ハラスメント等を含め)を設けます。
ワークライフバランスを高めるため、年休取得率70%を目指すとともに、職員のライフステージ(育児や介護等)を法人全体で支える体制を整えます。
②働きやすい職場づくり
障がい者や外国人に対する合理的配慮など全ての人が気持ちよく働くことができる職場風土づくりを推進します。
(6)その他(今後の検討事項)
◎研修センター
実務者研修、介護福祉士受験対策講座の実施機関から更に機能の拡充を検討します。今後、関係者の意見等を踏まえ、センターで担う事業等法人内の位置づけについて検討を進めます。
8.人材育成プラン推進のために
(1)計画的なプラン実施
①年次計画の策定
採用計画については総務課が、研修、人事考課関係の計画については、キャリア育成と制度の適正運用の観点から、委員会を中心に年間計画(案)を作成します。その後、採用、研修、人事考課関係等を全体の年間スケジュールとして整理をし、施設長会議において決定をして、全職員に周知を図ります。
各事業所は職場内研修の年間スケジュールを作成し、年度計画フォルダに研修内容等を公開します。
②計画の実施
年間スケジュールに従って、計画的に実施します。
(2)達成状況の点検
委員会において、プランの達成状況の点検を行い、PDCAに基づき次年度計画等に反映します。
※目標
※点検のための検証項目